今年4月からの調剤報酬改定の内容が明らかになってきました。
自分の店舗での影響など、試算されましたでしょうか?
調剤報酬の改定では、毎回何らかの「こんなことをするの?」ということが入りますね。
そのような内容が今回はいくつかあるように思います。
ただそれだけではなくて、今回は経営や薬局の存続に関わるかも、という
薬局には重い内容ではないかと思います。
●後発医薬品調剤体制加算
公表されている資料から読み解くと、後発品の使用比率旧指標で30%(15点取れる目安)は、
全体の半分くらいの薬局でした。
今までは半分くらいの薬局は、15点取れる可能性があったということです。
今回の改定で18点が取れる目安の新指標使用比率55%は
、薬局全体の(後発品使用比率の高い薬局の上位からから)30%程度と思われます。
ちなみにこれは、旧指標の35%19点が取れる目安と変わらないくらいです。
・15点取れていた薬局のほとんどが0点になる
→ 処方せん1枚で150円の減収! かなり厳しい...
・19点取れていた薬局でも、18点の算定がぎりぎりくらいの可能性がある。
19点を算定できる可能性があるのは全体の30%
→ 油断すると、すぐに190円の減収!
大型商品のジェネリック発売時には、患者さんに声がかけられまくることでしょう...
ちなみに、新指標での使用比率65%(22点取れる目安)は、
薬局全体の(後発品使用比率の高い薬局の上位からから)10%程度と思われます。
梯子をかけて外すのは厚労省の毎度のことですが、
いよいよ本格的に外しにかかっていますね。
ジェネリックは諦めて、先発医薬品で薬価差を稼ぎにいく
チェーン薬局も出てくるのではと考えてしまいます。
●調剤基本料の特例
受付回数2500回超(集中率90%超)で、
(現状40点、改定後41点から)25点の減点対象になります。
受付2500回ですが、月20日の営業で125枚/日 ですから、
少し忙しい店舗ならすぐに超えてしまいます。
またその対象薬局は基準調剤加算1(現状10点、改定後12点)も算定できなくなります。
その減点特例のさらに対象外となる(41点算定できる)方法として
「24時間開局」との条件ができました。
現状の解釈では、どうやら24時間薬局に薬剤師がいないといけないようです。
コンビニのように電気を煌々と灯すか、
少なくともインターホン押せばすぐ薬局を開けられるということが必要なのでしょう...
そんなにニーズがあるとも思えず、エコでないなぁという感想を第一に私は持ちましたが、
皆さんはどう思われますか。
また、医薬品の納価交渉で、妥結率が低いと調剤基本料が19点になるということも設けられました。
調剤基本料の減点規定はありましたが、調剤報酬において、
努力すれば算定できるというものがほとんどで、罰則的に減点が導入されるという意味で
トピックのように思います。
今後はジェネリックの調剤比率が低いと、調剤基本料が下げられるといったような時代が来るのでしょうね。
●簡単に試算
受付回数2500回/月の薬局として、
後発医薬品調剤体制加算15点、調剤基本料15点、基準調剤加算10点 それぞれ減点
15+15+10=40点=400円, ×2500 = 100万円/月 !の減収です。
さらに、薬価改定に伴う差益の減少(早期妥結の影響もあり)、消費増税による経費増...
100万円分元を取るには、薬剤師の人件費に手を出さざるを得ないでしょう。
人員配置が相当厳しくなるでしょうし、いわゆる「できない薬剤師」を雇っている余裕はなさそうです。
そういう意味でも薬剤師過剰時代が一気に始まりそうです。
さらに、自分の雇用だけの問題だけでなく、所属する会社組織自体の存亡にかかわるかもしれません。
試算のような規模の薬局は、チェーン薬局におけるドル箱店舗であることが多いです。
他の店の赤字を何とかドル箱店舗の利益でカバーしているようなところでは、
一気に赤字の可能性が見えてくるのではないでしょうか。
あるいは、それだけ利益が出る予定で、土地建物の賃借料が高いことを承知で出店した薬局も
少なからずあるでしょう。
今まで何とか収支がトントンだったのが、これを契機に一気に赤字店舗、
となってしまうところもあるでしょう。
数店舗規模のチェーン薬局では、薬局の身売りや廃業も、あり得ない話ではないでしょう。
薬局業界には、アベノミクスやらベースアップなどどこの世界の話ということでしょうか。
いよいよ、本当の冬の時代が始まったのかもしれません。