薬剤師を楽しもう!

英文での医薬品説明書

4月から新年度ということもあり、転勤という方もお見えかと思います。
今私の勤める薬局の地域では海外に転勤、出張される方がよく見え、入管・通関での対応を相談されることがあります。
その中でもよくあるのが、英文での医薬品の説明書を用意してほしい、との相談です。
一般的には自分の薬であれば、その場での簡単な説明で事足りるようですが、
語学に自信がなくてトラブルを避けるためであれば、あったほうがよいとも思えます。
今までは医師に依頼するのが普通だと思いますが、これも医薬分業が進んだ効果なのでしょうか、
薬局でも相談してもらえるようになったと、嬉しいような気持ちもあります。

いざ薬局で作成してみようとしても、形式は?この薬効は英語では何?など、分からないことだらけでした。
参考になればと思いますので、作り方を記載してみます。
英文以外の言語はまだチャレンジしたことがないですが、よっぽど英文で対応できるとは思います。

まず、書式や形式については決まったものはないので、必要と思われる内容に、
薬局の所在地連絡先を記載し、薬剤師名を署名すれば事足りると思います。

必要な内容としては、
●患者様の氏名:ちなみに、今は未婚既婚にかかかわらず女性は「Ms」でよいのですね... そのほうが簡単です
●薬品名前:成分名は添付文書に英語の記載があります、海外でも同じ名前で市販されているようなら商品名も可能
●薬効:どういう病気に使う薬かなど。例えば咳止めでコデイン類があると、薬品名だけではトラブルの元です
●薬局所在地:英文では番地‐町‐市‐県‐JAPAN、ときます

英文での医薬品説明の作り方ですが、「くすりのしおり®(くすりの適正使用協議会、RAD-AR)」のホームページに、
英語版がありますので、これにとても助けられます。
薬品数が少なければ、これを印刷すれば足りるとも思います。
ただし英語版では、先発品や一番有名な商品が載っていないこともありますが、
ジェネリックはあったりしますので、何とか対応できると思います。
不足する部分やほかに文章を作る際には、翻訳サイトでも医学用語対応のものもありますので、
それをグーグルやヤフーなどで検索したうえで、利用すればよいかと思います。

注意点として、有名な話でもあるのですが、日本で第2種の向精神薬に指定されている
「サイレース・ロヒプノール(一般名:フルニトラゼパム、ほかのジェネリックも含みます)」は
アメリカ(米国)とカナダには一切持ち込めませんので注意してください。
性犯罪に使われたり、麻薬・覚せい剤などの併用で問題になったためのようです。
これでないと眠れない!と相談されたこともありますが、これはどうしようもありません。
乱用の可能性の高い薬物として、麻薬の不法所持と同じ扱いをされてしまいます。

医療用麻薬は日本国内で手続きを踏めば海外旅行に持参できますが、
覚せい剤原料(現在一般で使用されるのはエフピーOD錠、ジェネリックもあります、一般名:セレギリン塩酸塩錠)は
自己の疾患のためであっても海外に携行はできないとなっています。

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