すっかり年末になってしまい時期が遅れてしまいましたが、
インフルエンザの予防接種の話をと思います。
たまたまかもしれませんが、今年自分が患者さんを通じて今年よく聞く話に、
「インフルエンザの予防接種をするから抗生物質を止めておくと言われた」
「抗生物質が必要な間は予防接種を待つように言われた」というものがありました。
感染性の疾患や発熱があって予防接種を延期するのはもちろん当然で、
そういう状態なので抗生物質が処方されていて指示されたと思っていたのですが、
どうも二次感染予防や風邪疾患での予防的な投与(と思われる)ケースでも
そういう指示をされる医師や医療機関が増えているようなのです。
添付文書上では、併用注意の記載はありません。
インタビューフォーム上にも、特に参考になりそうな情報はありませんでした。
ワクチン接種の効果は、ワクチンによりIgG抗体を産生させ
感染時のウイルス増殖を抑制させることによるものですので、
抗生物質がIgG抗体との何かしらの作用を及ぼすのか、
もしくはIgG抗体を産生するBリンパ球への影響があるのかとも思いましたが、
ざっと調べた範囲ではそういうことも無さそうでした。
よく分からず引き続いていろいろ調べていたのですが、
先日1つ参考になりそうな情報を見つけました。
実験内容を簡単に説明すると、
抗生物質を飲ませたマウスと普通の水を飲ませたマウスにそれぞれ予防接種をしたうえで、
インフルエンザウイルスに感染させたところ、
抗生物質を飲ませていた群のがワクチン効果が低かった、ということです。
結論としては、腸内細菌の活動が免疫獲得や、肺での粘膜免疫応答に
重要な役割を果たしていそうだ、ということだそうです。
医師に直接確認したわけではないので実際には異なるかもしれませんが、私の推測としては
人で言えば抗生物質を飲んで腸内細菌のバランスを崩すと、
ワクチン類の効果が落ちるかもしれない、避けておいたほうがよいということだろうと思います。
腸内細菌・腸管免疫の重要性は、代表的なものではガン予防や花粉症予防でも
いろいろ言われているとこですが、予防接種まで関連しているとは想像もしていませんでした。
まだまだ知識不足だと感じたところです。