「薬局はサービス業である」
よくこの言葉を耳にします。医療業に携わるものにとって、サービス業と言われるのは、大変違和感があるのではないかと思いますが、皆さまはいかがでしょうか。
少しインターネットを調べてみました。
”サービスの語源は、ラテン語のServus(奴隷)です。
それが、英語のSlane(奴隷)Servant(召使い)という言葉から発展しました。サービスは語源の通り、サービスを受ける立場が主であって、サービスを提供する方は従ということで、主従関係がはっきりしていると言えます。”
なるほど。病気を治すのは患者さん本人で、我々医療者はその手助けをして、かつ、安全で有効に治療が行われていることを見届けるのが役割です。たしかに主役は患者さんですが、医療者はサーバーと言われると、ちょっと違う・・と思うのは、このあたりにあるのでしょうね。
これに似た単語として「ホスピタリティ」という言葉があります。
”ホスピタリティの語源は、ラテン語のHospics(客人等の保護)です。
それが英語のHospital(病院)Hospice(ホスピス)と色々な言葉に発展したのです。
これらは対価を求めているのではなく、おもてなし・喜びを与えることに重きをおいている点が大きくサービスと違います。”
(http://www.hospitality-gokui.com/a1.html)
なるほどなるほど。
なんか、こちらの方が”Hospital”の語源と同じだし、なんとなく自分たちにフィットしているなあ、と感じますね。
そんな中、下の小論を見つけました。
http://www.coacha.com/view/sakurai/20120321.html
書いている方は、随分以前から医療現場にコーチングを導入しているコーチです。
そこにホスピタリティとは何か?という部分があります。
”「ホスピタリティとは何か?」について、
「相手が、『自分のために十分に時間をとってくれた』
と思えるような関わり方」
とコメントされています。
コーチングで成果をあげるための大前提は、
「相手のために会話する時間をとり、相手の話を聞くこと」。
それはホスピタリティを実現させるための
第一歩でもあるのだと思うのです。”
なるほど。これはとても深い言葉ですね。
「相手が「自分のために十分時間をとってくれた」と思える」
思わせることができる・・のでしょうか。
普段私達は時間に追われています。仕事に追われています。コミュニケーションにも追われています。
「十分に時間を取るなんてできないよ。」とつい口走ってしまっているでしょう。
でも、それでは何一つ解決できないのかもしれない。そう思います。
医療はサービスではありません。対価を頂いて技能を提供しています。その対価は国も支払っています。ある決まった範囲から技能を逸脱して提供することはできません。
でも、「今、この患者さんのために何かをしてあげたい!」と思うことは、医療者としてとても自然な事です。でも何をしてあげたらいいんだろう?みんな困っているのではないでしょうか。
お仕着せの患者サービス、などと言うものは捨ててしまいましょう。
一律のサービスではなく、個別のホスピタリティを上げましょう
どうすればいいのか?「十分時間をとってくれた」と思わせること。はひとつの回答です。
時間をとってできること。いろんなことがしてあげられます。
例えば投薬後「お大事に」といいながら、本当にこの先の1ヶ月が大事でありますようにと祈りながら最後まで見送ること。それだって、「時間をとって」やれることじゃないでしょうかしらね。