先日、リウマチの生物学的製剤に関する勉強会を行いました。
Effect of the early use of the anti-tumor necrosis factor adalimumab on the prevention of job loss in patients with early rheumatoid arthritis.
Arthritis Rheum. 2008 Oct 15;59(10):1467-74.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18821658
という論文のことが話題になりました。
PROWD試験と略されるこの研究ですが「働くのに障害がある」と自己報告した罹病期間2年以内、18歳以上のリウマチ患者さんを対象にしています。
彼らのうちの半分をメソトレキセート+生物学的製剤で治療し、残りの半分はメソトレキセートのみで16週治療することで、彼らの「失職」または「失職が差し迫った状態」に変化があるか?をみるものとなっています。
有り体にいえば、生物学的製剤を使用することによって、リウマチ患者さんが職をやめさせられずにすむのか?という感じでしょうか。
この研究。56週間の全市意見期間においては生物学的製剤+メソトレキセート群の方が、メソトレキセート単独群と比較して、失職者の数が有意に少なくなりました。ただし16週目以降の失職は有意差がありませんでした。
ただ、他のQOLに関する値では有意な改善が見られているため、著者らは、早期に生物学的製剤を使って治療することで、リウマチにかかる間接的費用が節減される。とこの研究を意味付けています。
生物学的製剤の治療を受ける場合、一番の問題になるのが、実は経済的な問題でしょう。かなりお高い薬ですものね。
それでもリウマチ患者さんにとって、手や足が動かないということは、すなわち、失職につながる・・ということもあるでしょう。その時の労働損失と治療費。天秤にかけて、どっちやねん!ということだと思います。
医療はどんどん高度になっていきますが、そのぶん治療費の問題は常に議論されることでしょう。
この話は、労働できない→日本全体の経済活動がさがる・・・という大きな話にも通じていきます。我々がきちんと患者さんに説明することで、日本の経済活動の停滞をおさえる!?。。。ことに通じてくるんですね。