薬剤師を楽しもう!

分からないものをどうしようか

雨が続いている6月です。
巷からは梅雨の時期だし当たり前だよ、という声と、早くから始まったからもう終わってもいいんじゃないの、という声の両方が聞こえてきます。最後には、どちらにしても天候のことだし、よく分からないよね。で会話は終わるでしょう。

医薬品の場合、どうなのでしょうか。

ピオグリタゾンのフランスにおける処方制限に引き続き、ドイツでも処方制限が行われました。
この件で、我々薬局への情報がピオグリタゾン販売製造メーカーからではなく、先に新聞・インターネットから得られたという事実に関してはもう言及しません。ただそういう時代になったのだということの認識だけが必要なのでしょう。
医療者が先に情報をもらい、患者さんへ情報提供する時代ではなく、患者さんが先に情報を得る場合もある時代になったということです。これがインターネット時代、キュレーションの時代なのです。

ともすると、薬局へ来られる患者さんが私の知らない情報をもって来るかもしれない時代なのです。
例えばピオグリタゾンのフランス使用制限の医師向けお知らせ
http://www.info.pmda.go.jp/iyaku_info/file/kigyo_oshirase_201106_1_m.pdf
はインターネットで公開されています。情報を得ることにたけている患者さんであれば、すぐ見ることができるでしょう。欧州医薬品庁のサイトまで情報をたどる患者さんも当然おられるでしょう。
とはいえ、この情報、最終的にフランス語でかかれているので・・・私にも表で何となくしかわかりませんが・・。

(MTProというサイトに(要登録)記事があり、データが書かれていました
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/doctoreye/dr110602.html

結果はHR=ハザード比というもので示されています。
今回の結果は〔HR=(1.22 (95%CI 1.05 - 1.43))となっています。

「ピオグリタゾンを服用した患者さんは、通常よりも1.2倍膀胱がんになりやすかった。」
それだけで片付けていいのでしょうか。

飲んだらすぐなるの?続けていていいの?やめちゃっていいの?
実際には長期服用している方に発症率が高いのですが、それは本当にピオグリタゾンのせいなのでしょうか。
「これってどういうことなの?」と患者さんが来られた時、その情報を自分の言葉で、情報活用、整理、そして統計の視点をもって説明すること。その大切さを今回も痛感します。

だって、お天気なら、分からないねー、で済ますことができます。
薬剤に関してだって分からないことは当然あるのですが、分からないなら「ここが分からない」をきちんと伝える必要があるのですもの。

分からないことを、分からないなりに、理解して伝えて、理解させる。
それがいつでも私たちの服薬指導なのです。

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