薬剤師を楽しもう!

トピラマートと胎児危険度

2011年3月4日づけで、FDAから「トピラマートの胎児危険度をカテゴリーCからカテゴリーDへ変更する」という案内がきていました。

http://www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/ucm245085.htm

「アメリカでの研究で、トピラマートを妊娠第一期(海外ではthe first trimesterといって、妊娠期間を3期にわけて、妊娠14週、28週で区切ります。日本の妊娠初期は妊娠16週未満ですから少しだけ週数が違います)に服用した場合、乳児の口唇口蓋裂の有病率は1.4%であった。他のてんかん薬を使用した場合の有病率は0.38%から0.55%であり、てんかん薬の使用のない場合は0.07%だった。
またイギリスの研究でも同様にトピラマート使用の場合の口唇口蓋裂の有病率があがっていた。

よってFDAは、トピラマートの胎児危険度をカテゴリーCからカテゴリーDへ変更します。」

さて・・ところでカテゴリーCとかカテゴリーDとかって・・何でしょうか。


http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%83%8E%E5%85%90%E5%8D%B1%E9%99%BA%E5%BA%A6%E5%88%86%E9%A1%9E_%28%E5%8C%BB%E8%96%AC%E5%93%81%29

Wikipediaで確認してみました。
アメリカでは胎児危険度として、カテゴリーAーD,Xと分けられているようです。
面白いものです。
カテゴリーAは「リスクの証明や証拠がないもの」
カテゴリーBは「動物実験では有害が確認されているが、妊婦でのリスク証明のないもの」
カテゴリーCは「動物実験では有害が証明されているが、妊婦での証明がなく、有益性が上回ると使用されるもの」
カテゴリーDは「妊婦での証明があるが、有益性が上回ると使用されるもの」
カテゴリーXは禁忌。

エビデンスのあるなしで、わかれているんですねえ。

さて、今回トピラマートはカテゴリーDに変更されたわけは、今までは動物実験では口唇口蓋裂の発生がみられていたのですが、実際にそれをデータをもとに人間でもある程度の確率で起こり得るということが証明された、ということでもあります。

ーー
さて、この結果をうけて、日本の添付文書を見直してみてください。
あ、カテゴリーCの書き方だ!と思えるでしょう。
日本の添付文書もカテゴリーDの書き方に変更になるでしょうか。
それに、このことによって、トピラマートの治療方針は変わるでしょうか。
てんかんの薬なんですから、当然これがなければ発作がおきてしまうという患者さんだっておられるわけです。

昨今のインターネット時代。アメリカのニュースはすぐに日本に伝わってきます。
明日、このニュースを聞いた患者さんから質問を受けた時に、どう答えましょうか。

生の問題と死の問題は、いつでも医療者の身の上に降り掛かってきます。自分なら、薬剤師としてどう考え、どう答えるのか。自問自答しておくのも悪くないと思いますよ。

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