薬剤師を楽しもう!

ロキソニンOTCになる

これは今までに通院の痛み止めとして処方されていた方には朗報だったのでしょう。

ロキソニンのスイッチOTC化。

痛み止めのロキソニンですよー。軽い頭痛や生理痛、のどの腫れなんかにも効果ありますし、まず痛み止めを飲んで様子をみる、という常套手段もとれます。これこそセルフメディケーション。
現在、あちこちのドラッグストアにも「ロキソニン入りました」と宣伝がうたれております。

しかし・・・覚えていらっしゃる薬剤師も多いでしょう。
昨年の1月に、ロキソニンは劇薬指定から解除されました。

劇薬とは
1)急性毒性(LD50)が次の表に該当する場合

経口投与 < 300 mg/kg

(2)次のいずれかに該当するもの

1)原則として、動物に薬用量の10倍以下を長期連続投与で、機能又は組織に障害を認めるもの。
2)通例、同一投与法による致死量と有効量の比又は毒性勾配から、安全域が狭いと認められるもの。
3)臨床上中毒量と薬用量が極めて接近しているもの。
4)臨床上薬用量において副作用の発現率の高いもの又はその程度が重篤なもの。
5)臨床上蓄積作用が強いもの。
6)臨床上薬用量において薬理作用が激しいもの。

実はその前年の11月に、ロキソニンの内服はOTCとしての販売を許可されました。
ただし劇薬のままでの一般販売は「劇薬譲渡書」を記載してもらわねばなりません。OTC化了承の数カ月後に、ロキソニンは普通薬として認定されることで、一般薬として薬局の店頭に並べることができた、ということなのです。

厚労省がOTC化を見越して、ロキソニンを劇薬から普通薬に変えた・・・というのは、本来は考えてはいけないことです。「見直したら毒性がすくなかった。」というデータをメーカーから提出されたわけですから。

ただ、私たちが気をつけなければならないのは、「ロキソニンは少し前まで劇薬として存在していた」という事実です。
なぜ最初の承認時に劇薬扱いだったのか?
毒性が強いか、有効閾値が狭いか、蓄積性が高いか、薬理作用が激しいか。。。何らかの理由があったわけです。

ロキソニンには、よく知られている胃腸障害の他に、腎障害(Na貯留のためのむくみ)、肝障害(肝細胞への毒性)、PG合成が強く発現したためのショック、低体温、起こるかもしれないこととしての急性脳症があります。特に連用された場合の胃腸障害、腎障害、大量服用でのショック。。。
またロキソニンを服用してしまうことにより、もっと重大な痛みを伴う疾患を隠蔽してしまう可能性もあるわけです。

これらのことを考えると、本来、頓服として使用されるべき市販薬と思います。

でもねえ。。その割に値段がお安めなんです。
ガスターですら「市販のガスター10を胃の痛い時にだけ飲んでたら、胃潰瘍悪化で出血した。」という患者さんがよくおられるんです。値段の高いガスターですら、意外と適当に使用されてしまうんですものねえ。
ロキソニンのお値段なら、連用されてしまうこともあるかも・・

ここは、各薬局でロキソニンOTCを販売する際には、きちんと益と害の説明を行って、かつ、患者さんがすぐに薬局に相談に来てくれる体制を作るべきでしょう。


これらをきちんと説明した上で、頓服的に使用されることを願ってやみません。

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