薬剤師を楽しもう!

捨てるときの落とし穴

最近、私の周りの方々の間では”断捨離”がブームになっています。
たしかにうっとおしい物の無い生活ーあこがれではあります。
例えば、古い考え方。
これ、一層してみると意外と新しい考え方がするっと入ってくること、あります。

捨てるからには、何かが代わりに入ってくる、ということですよね。

さて、先日のおはなし。
ご主人が腎臓を悪くなさってその相談に薬局を訪れてくださった奥様。
奥様「料理がね、面倒なのよね。食塩も制限しろって言われるし、ほんとストレスなのよ。」
私「そうですよねえ、私も一度チャレンジしたけど味がなくってねえ〜。」
「それでね、一応減塩しょうゆも減塩みそも使ってるんだけど・・・」「そういえば昔、”減塩しお”ってありましたよ。」「あら、そんなものがあるの。一度探してみようかしら。」

彼女が帰ってから、気になったので調べてみました”減塩しお”
なんで塩のくせに減塩ができるのでしょうか。

”普通、Nacl(塩化ナトリウム)=塩分ですが、これらの商品はNaclのほかにKcl(塩化カリウム)を使って塩辛さを調整しています
減塩しお  100g当り Na 19.5g   カリウム25.9g  塩化ナトリウム 49.5g
        原材料:塩化ナトリウム・塩化カリウム
減塩習慣  100g当り Na 18.9g   カリウム26.2g  塩化ナトリウム 48.0g
        原材料:塩化カリウム・天日塩
やさしお  100g当り Na 18.1g    カリウム27.6g  塩化ナトリウム 46.0g
        原材料:海塩・調味料(無機塩等)”
http://tousekirestaurant.blog41.fc2.com/blog-entry-143.htmlより

彼女のご主人は腎臓を患っていて、当然カリウムに関しても適量が求められています。塩化ナトリウムのかわりに塩化カリウムを使われたんじゃたまりません。
減塩しょうゆや減塩だしつゆにもこの塩化ナトリウムのかわりにカリウムを使う場合があるようです。
すぐに自宅へ電話をして”減塩しお”は使わないように、使っている減塩しょうゆも厳選してもらうようにお話しました。

何かを捨てるというのは、やっぱり何かで補わないとならないんですよねえ。それが患者さんの体に危険を及ぼすもので補われている可能性だってあるわけです。
もうちょっと気を使ってお話したらよかったなあ。と反省しきりです。

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