薬剤師を楽しもう!

診療報酬改定において

4月。
といえば、医療関係者においては診療報酬の改定時期!でしょう。
4月を境に、加算がついたり消えたり、患者さんの会計も変わりますし、覚えることも増えますし、薬剤師にとってもいろいろと考えることの増える頭の痛い時期でもあります。

今回の改定で、保険薬局においては、ハイリスク薬に関する薬学的管理及び指導の充実がうたわれました。具体的には「特定薬剤管理指導加算」という項目が新設され、定められた特に安全管理が必要な薬剤に関しての、服薬指導をきちんと行うことによって、この指導加算の算定ができるというわけです。

指導といっても、薬の効果確認であったり副作用の確認であったり服薬手順であったり注意事項であったり。どちらかといえば大仰に構えるようなものではなく、今までもずっと行ってきた服薬指導を行うことにより加算できるものと考えてもいいと思われます。

この「特定薬剤管理指導加算」には二つの意味があるんじゃないか、と思っています。

一つは、この指導加算は患者さんそれぞれに対しての算定が行われているということです。
保険薬局の加算というのは、施設やそのシステムに対して行われることが多かったのです。例えば情報加算。情報を渡せば加算ができる。という仕組みですね。
しかし今度の指導加算は、患者さんとの対話がメインです。「薬はこうやって効くんですよ。」とか「この薬のこの副作用は問題なさそうですか?」とか「次の受診日は?そこまでの薬ありますか?」とかそういった会話の中にこの指導加算が存在すると思われます。
医薬分業となってから10数年。ただ薬は渡すだけ、だった薬剤師が、普段の患者さんとの会話に積極的になることができるようになった、その歴史でもあります。つまりこの「指導加算」が明記されたことによって「薬剤師の仕事は患者との対話にある」と明記されたわけです。

もう一つ。特定薬剤とは、ある特定の薬剤の名前を指すわけではないということです。
たとえばステロイド。
免疫抑制剤としてのステロイドの使用であれば、「特定薬剤」となりますが、そうでない場合のステロイド薬では「特定薬剤」の加算はできません。シンメトレルでも「抗ウィルス薬」としてのシンメトレルは「特定薬剤」ではありませんが、精神神経用剤としてのシンメトレルの使い方は間違いではありません。常に「特定薬剤加算」として指導しようとすると、その薬剤がどのように使われているかを患者さんに確認しなければなりません。
これはちょっと考えるとすごいことです。
昔は薬剤がどんな目的で処方されているかどうかは、医者に責任があり保険薬局の薬剤師は「知らなくてもいいこと」だったのです。例えば適応外治療としてある薬剤が使用されていたとしても保険薬局では分からないことと、世の中も厚生労働省もしてくれていたわけです。しかし今回の「特定薬剤」に関しては、その使用目的を理解した上で薬剤師は投薬を行わなければならないのです。この規則があることで「薬剤師は薬の使用目的に関して責任をおわなければならない」と明記されたことになります。

以上2点、「薬剤師は患者と対話するべき」「薬剤師は薬の使用目的に責任をおうべし

どちらも大したことに感じられないかもしれません。これはおそらくどこの保険薬局でも素直に行われている仕事だからです。しかしそれが規則として明記されたということはとても重要なことだと思われませんか?

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