薬剤師を楽しもう!

新しい人たちへ

今年、薬剤師になられる皆様へ
まずは薬剤師国家試験合格おめでとうございます。

あなた方の得られた国家資格というのは、どんなものだと思いますか?

これで病院や薬局に勤務することができる。薬剤師として活躍することができる。そういう免許でしょ?
その通りだとは思いますが、じゃあ薬剤師として活躍するって、何をすることなんでしょうか。

私は「薬を渡すことのできるものを薬剤師と呼ぶ」んだと思います。
国家に認められて、法的に正しく、薬を渡すことのできる人物は、医師と薬剤師しかいません。
他のどんな職業の人も、薬を渡すことはできないのです。

渡す、というのはどういうことでしょうか。患者さんに、薬を説明する。のと同じことだと考えます。
つまり、今、まさに飲もうとしている薬について、説明をする権利のある、2つしかない職業のうちの一つ。それが薬剤師です。


さて、皆様は、先日、その権利を得ました。今まではいくら勉強していても、よく薬のことを知っていても、素人でしかありませんでしたが、これからは違います。あなた方が薬剤師免許を持つことで、あなた方は、「薬を説明するプロ」になったのです。逆にどんなに薬のことを知らなくても・・・です。

説明のプロとは、どういうものでしょうか。
私は、プロとは、自分の説明に責任を持てる人だと考えています。
私たちは「薬のことをよくしっている人」ではなく「薬のプロ」です。
この違いは、自分の言ったことについて責任を持てるかどうか、の違いだと思います。

薬局にくる患者さんは、単なる「薬をよく知っている人」から薬を供給してもらおうと思ってくるのではありません。「薬のプロ」にもらおうとして薬局へきて、私たちに話しかけているのです。だから、最後に「ありがとう。」と言って帰っていくのです。


プロになるには、どうしたらいいのでしょうか。

近道はありません。患者さんがどういう状態なのかを知る。病状を知る。性格などをしって、それに対応する言葉をかける方法を知る。医師の処方内容を知る。薬の動きを知る。医療保険や医療行政についてを知る。最新の医療知識や情報を知る・・・。
少しずつ、地道に情報や知識を蓄えていき、それを私の目の前にいる”あの”患者さんに伝わるように説明する。


そうやって、プロとしての相応のプライドを身につけていってください。プライドは高すぎてもいけませんが、低くても駄目です。高ければ高慢になりますし、低ければ卑屈になります。
この国で、患者さんに正当に薬のことを説明できるのが、私たち、薬剤師です。
それだけのプロとしての意識と相応のプライドをもって仕事をしたら、きっとこの仕事が楽しくてやめられなくなると思います。

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