薬剤師は言われたことはとても真面目に上手くやるけれども、言われたことだけしかやらないのよね。
これはある法人で研修委員になってみえる方の愚痴です。彼女曰く、薬剤師のための研修を企画する場合に、「目の前にあること」「実用的なこと」の題材を何かいれないと人が集まらないのだそうです。やらなければいけない事、と言われると一生懸命になるけれども、自分から行動する、ということにおいて、薬剤師は他の業種より一歩出遅れているようです。
どうでしょうか?
自分はそうでないと言い切れますか?
おのずから勉強していますか?会社に言われたから、認定薬剤師をとれと言われたから、やっていませんか?やりたい研修に参加していますか?
そんなことはない。と断言できる方にお聞きします。
では今やっているその勉強は誰のため。何のために行っていますか?
そんなの、患者さんのためでしょう。って。
はい。その通りです。
でも患者さんのためって、どんな為?患者さんは薬剤師が勉強してなくても処方通りの薬が貰えたら満足じゃないですか?何故薬剤師が勉強しなくちゃなりませんか?
よく考えましょう。答えはあるんです。
自分なりの答えが。
考えましょう。考えない勉強なんてありません。
今日受けようとしている研修が自分にとって何の得があるのか?
小手先の技術ではない、この研修で得なければならない本質は何か?
研修を与える側にも問いたい。
確かに知識を分けて頂ける。説明の時間をとっていただける。そんな有り難いことはありません。でも少し考えていただきたい。その研修は本当に必要ですか?一人よがりになっていませんか?帰ってから参加者がその内容を覚えているものですか?小手先でなく本質をついていますか?手取り足取りの与えすぎになっていませんか?
あれをしてほしい、これも理解して欲しい。そう考えて研修を組むのは当然と思います。が、与えようとしすぎれば、参加者は自分で考えなくなるでしょう。これからの医療業界、どんな人材が必要でしょう。自分から「この治療は正しいのだ。」と確信して患者さんに薬をわたすような薬剤師でなくて何とするでしょう。自ら確信できるようになるためには、医療情報などをたくさん得なければいけないのは、当然ですが、それ以上に必要なのは、「自分で確信が持てる」ことではないでしょうか。自分で自分のやっていることを確信が持てる。それには人から言われたことだけを行っているようでは、いつまでたっても確信は持てません。
つまり、自ら考えて行動するような、そんな人材を作ることが研修の目的にはならないでしょうか。
参加者は与えられたことだけを行う。またすべての参加者に画一的に受け取ることを要求する。そんな研修では自ら考えるという行動を無くしていきかねません。
そしてその結果は、誰からも支持されない薬剤師を作ってしまうことになると思いませんか?
では、どういうものが未来のある研修なんだろう?
その答えも考えてみてください。
私の考えた一番簡単な発見方法は「想像してみる」ことです。
研修会のあと、どんな自分に変わっているだろう?こんなところを勉強したら、どんなふうに服薬指導が変わるかな?
その想像の先の未来が楽しければ楽しいだけ、その研修は自分にとって良い研修で、受けたことは成功です。
一生の時間は限られています。より良い勉強に多くあたることが未来を豊かなものにしてくれることでしょう。
それには考えましょう。その少しの時間が一生を左右するかもしれません。