薬剤師を楽しもう!

薬剤性光線過敏症

この夏の猛暑、皆さんいかがお過ごしですか?
今年は異常なほどの暑さに加え、日差しが凄いですね。
シミができたら、自然治癒はあり得ない年齢の私としては、
「日焼け止め・日傘・長手袋」が三種の神器であります。
それでも出来たら、皮膚科にGO~!!でお金を払ってシミをとってもらう今日この頃・・・・・。

さて、今回はそんな日差しが怖い「光線過敏症」についてです。
光線過敏症には内因性と外因性があり、
内因性は免疫異常や代謝異常、遺伝的素因などです。
外因性は光毒性反応と光アレルギー反応に分かれます。
私たちが注意しなければいけない薬剤性光線過敏症は外因性になります。
薬疹全体のなかで光線過敏症の占める割合は14%です。
ですから、皮膚症状が出た時、薬を服用している人は薬剤性光線過敏症を疑う必要があります。

光毒性は 皮膚に存在する物質が特定の波長の光線を吸収して、細胞を攻撃して組織の障害がおこることで、薬剤と一定以上の光の量があれば、誰にでも起こりうることで
発現までに数分~数時間です。症状の経過は日焼けのように消失は早いです。

これに比べ、光アレルギー反応は皮膚に存在する物質が特定の波長の光線を吸収すると、
体質によって、光抗原ができて、皮膚でアレルギー反応を起こすもので、
微量でも反応する場合があります。
発現まで数日以上かかり、そしてこちらは類似化合物と交叉反応を起こすことがあります。
症状は数週間から数カ月、長い場合は年単位のこともあります。

影響のある波長は外出時の直射日光だけでなく、窓越しの光でも発症します。

主な原因薬剤(メルクマニュアルより)
抗不安薬
  アルプラゾラム・クロルジアゼポキシド
抗生物質
  キノロン系・スルホンアミド系・テトラサイクリン系・トリペトプリム
抗うつ剤
  三環系抗うつ剤
抗真菌薬
  グリセオフルビン
抗精神薬
  フェノチアジン系
利尿薬 
  フロセミド
  サイアザイド系
血糖降下薬
  スルホニル尿素系
化学療法薬
  タカルバジン
  フルオロウラシル
  メトトレキサート
  ビンブラスチン
心臓の薬
  アミオダロン
  キニジン 
非ステロイド性消炎鎮痛剤         等などまだまだあります。 

添付文書に記載があるのは結構な品目数です。
外用薬ではケトプロフェン(モーラステープなど)が有名ですが、
貼付している時だけでなく、成分が皮膚に数週間残存します。
光線過敏症が発現したうち83%は貼付後一週間以内に、99%が4週間以内ですので、
剥がした後1カ月ほどは注意すること。
とは言っても、服薬指導で「貼って1カ月は日に当たらず気をつけてください!」なんて言ってしまったら、誰も貼らなくなりますよね。
「剥がしてからもまれにそういうことがあるので、もし症状が出たらすぐにお医者さんに行ってくださいね」という注意喚起など、不安を与えず、早期対処できるようにする服薬指導が必要ですね。
ひどい時は貼付部位だけでなく全身に紅斑がでることもあります。
ですから、日差しの強いときやゴルフや屋外に出ることが多い職業のひとには、過敏症に対する一言を付け加え、湿布なので内服より気軽に他人に譲り渡すケースがあるのでそのようなことのないように
注意が必要です。

内服ですが、最近注意が必要なのが、血圧降下剤の合剤です。
合剤・・・今凄い勢いで増えてますね。
プレミネント、コディオ、ミコンビ、エカード、これらは合剤の利尿剤はサイアザイド系のヒドロクロロチアジドです。
服用してすぐとは限りません、冬場から飲んでいると、春先日差しがきつくなった時に急に発症することがあります。
即中止し、日に当たらないように、外出を控える、日傘、手袋、UVケアをするなど。
服用を中止してから、いつまでUVケアを徹底しないといけないのでしょうか?
体内に成分がどれほど残るかは薬剤によってそれぞれ違いますが、
皮膚の状態を考えると、今出ている皮膚症状が無くなるまでです。
そして今出ている皮膚症状の対処療法としてステロイド塗り薬を使用したり
、抗ヒスタミンや抗アレルギー剤を服用します。

外因性は薬だけではありません。
光毒性がある食べ物はセロリやウド、イチジク、辛子、アワビ、そばなど沢山あります。
グレーフルーツ、オレンジ、ライム、レモン、ベルガモット油などはアロマのエッセンスにもありますね。
これらのエッセンスをマッサージオイルとして利用した後に日光に当たらないようにしたほうがいいということです。
健康食品でも、クロレラやセントジョーンズワート、どくだみ等も報告があります。

まず、薬剤師としては光線過敏症は、まれにではありますが、薬と光によって起こりうる可能性をしっかり理解し、患者さんに不安を与えない指導の仕方で、
予防、発症早期に受診できるようにもっていくことが大切ですね。

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