薬剤師を楽しもう!

ナイトミルクの答えはメラトニン

地球は1日24時間ですが、人間の時計は実は1日25時間といわれています。
でも、毎日同じ時間に起きて同じ時間に寝られるのは
朝起きて光を浴びることで体内時計をリセットしているのです。
真っ暗な部屋で外の変化がわからない状態では25時間で進んでしまいますが
毎日のリセットで24時間制度に合わせているわけですね。

朝の光を浴びることでその14~15時間後に登場するホルモンが
睡眠ホルモンといわれている「メラトニン」です。

メラトニンは脳の松果体から分泌され、脈拍・体温・血圧を下げ、睡眠を誘います。
光によって分泌量はコントロールされるので昼間は少なく夜間に多くなります。
夜寝る前に暗くすると寝やすくなるのはこのためです。
徹夜をするとき、電気を明るくしてパソコンに向かっているのと、
薄暗い部屋で本を読んでいるのでは、後者のほうが断然睡魔が襲ってきますよね。

メラトニンの分泌の流れは、まず必須アミノ酸のトリプトファンが脳に運ばれると
それを原料にセロトニンが作られます。このセロトニンがメラトニンの分泌を促すそうです。
トリプトファンはバナナや牛乳に含まれています。
夜に牛乳を飲むのがよい、といわれるのはイライラを落ち着かせるカルシウムだけでなく、
トリプトファンも含まれるからです。

北欧では「ナイトミルク」というのがあるそうで
牛も人間と同じで夜のほうがメラトニン分泌が多いので
夜に絞ったミルクを飲むそうです、太陽が沈まない白夜があるからですね。
日本でも夜絞った牛乳が売り出されています。
あくまで食品なので「効く」というわけにはいきませんが、
リラックスを目的に販売されているみたいです。

さて、この「メラトニン」高齢になると分泌量が減ってきます。
だから、高齢者には不眠が多く、睡眠導入剤がよく処方されるわけです。

じゃあ、「メラトニン」の分泌を促進すれば自然な眠りに?
というわけで、武田薬品から「ロゼレム錠8㎎」(一般名:ラメルテオン)がこの6月に薬価収載
されました。
作用機序は脳松果体からの分泌ホルモン、メラトニンの受容体に選択的に結合して薬理作用を
発揮します。
久々の全く新しいカテゴリーの不眠に対するお薬です。
とはいっても、米国では2005年にすでに承認されています。
メラトニン自体は海外ではサプリメントとして時差ぼけや睡眠障害に販売されています。


添付文書によると
効能効果は「不眠症における入眠困難の改善」です。
禁忌薬剤があります。
ブルボキサミンマレイン酸塩(ルボックス・デプロメール)です
ラメルテオンの主な代謝酵素はCYP1A2で、フルボキサミンはCYP1A2を強く阻害するため、
最高血中濃度・AUCが顕著に上昇するそうです、「顕著」と表現するだけあって結構な数字です。
詳しくは添付文書をご覧になってください。
食後投与は空腹時投与に比べて血中濃度が低下するので食直後は避けること、
と使用上の注意に記載があります。

もちろん朝の光だけでなく、食事のリズムなど1日規則正しく送るのが質の良い睡眠をとるためには
重要ですね。
といいながら、このブログは夜中に電気コウコウ!パソコンの光も浴びて、音楽ガンガンかけながら、
メラトニン分泌抑えて書いています…。
明日は体内時計リセットのために、即カーテン開けて光を浴びます~。

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