薬剤師を楽しもう!

偽痛風

突然足の親指の付け根が激痛!
痛風発作は経験した人でないとわからない位、痛みを伴う場合が多いです。
歩けないだけでなく、靴下を履くことすらできない状態になる場合も。
しかし、これには前兆があり、
これまた、経験者ほどわかるらしいです。
ピリピリ~・ムズムズ~など違和感があり
(←ここですぐにコルヒチン服用!すると発作が起きにくくなります)
ほっておくと激痛が襲ってきます・・・・。
痛風発作繰り返している患者さんにはコルヒチン携帯必須ですね。

原因は尿酸ですが
「痛風」≠「高尿酸血症」ですね
「痛風」は尿酸が高値でも低値でも尿酸が結晶化して初めて「痛風」になります。
尿酸値が高いほど、飽和状態になり結晶化しやすいのはもちろんですが
尿酸値が低くても
激しい運動や関節をひねったり、なんらかの理由で尿酸値の変動が激しければ
痛風発作が起こり得ます。
発作が起こっているときに尿酸値を下げる薬をすぐ飲むと、激痛が悪化するのも
尿酸値の急激な変動からですね。

男性に圧倒的に多いのに高齢者になると男女差が小さくなるのは
女性ホルモンが尿酸を排泄する作用があるので、
閉経後は女性の尿酸値が上昇するからです。

さて、結晶化するのは「尿酸」だけ?

ここで「偽痛風」という疾患があります。
痛風を同じように、関節のはれや痛み、まれに発熱などもありよく似ている症状ですが
痛風ほど痛みが激しくない場合もあり、
足の親指付け根の痛みが多い痛風に比べ、膝や手首など様々な関節に症状が出るので、
慢性関節リウマチとの識別も大切です。
「偽痛風」の場合、結晶化するのが「ピロリン酸カルシウム」。
高齢者に多く、男女比もありません。
識別は関節液をとり顕微鏡でピロリン酸カルシウムの結晶をみたり
X写真でも確認できます。
ピロリン酸は代謝の過程で作り出されるもので、本来肝臓などで分解されるものですが、
高齢で肝機能が低下したりすると、分解しきれないで残ることになります。

原因は明らかではないですが、遺伝性、副甲状腺機能亢進症なども言われています。
治療法は対症療法で非ステロイド坑炎症剤の投与、過剰な関節液をぬいてステロイドを関節内に注射する場合もあり・・・イタタッ・・・

多くの患者さんでは膝の変形と慢性的な運動痛、動作の開始時の痛みで特徴とされる変形性関節症に移行します。

痛みって色々あって、永遠の格闘テーマですね。

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