皆さんの地域では新型インフルエンザの流行はいかがですか?
私の地域は学級閉鎖やクラブ活動禁止など猛威をふるっています。
数年は流行するかもしれないので、こうなれば長期戦ですね。
タミフル耐性菌や、リレンザも喘息患者に対しては喘息誘発のリスクもありますね。
ちまたでは「インフルエンザに○○で免疫アップ!」
な~んて、広告をよく見かけます。
昔から言われているものもあれば、突如どこからかあらわれたものあり、
どう考えても、眉つばもん・・・・というのも。
ここは薬剤師として、ちゃんと根拠のあるものをお勧めしないといけないと思います。
そこで、私の大好きな漢方から「麻黄湯の実力」を。
麻黄湯はちゃんと適応症に「インフルエンザ(初期のもの)」(一部のメーカー)と書いてあります。
麻黄湯の構成生薬は「麻黄」「桂皮」「杏仁」「甘草」
「麻黄」は強力に発汗させ、エフェドリン類を含むので交感神経を刺激して気管支拡張により、
咳や喘鳴に対して効果があり
「桂皮」も発汗、麻黄との組み合わせで相乗効果があります
「杏仁」は鎮咳・去痰作用、「甘草」は緩和作用があります。
ところで何が、インフルエンザウイルスに効果があるのか?
「麻黄」です。
インフルエンザウイルスは細胞に入ると、エンドソームに取り込まれて、
エンドソーム内が酸性化するとエンドソームの膜とウイルスの膜が融合して
穴があき、ウイルスRNAが細胞内に放出され(脱核)、増殖します。。
このエンドソーム内の酸性化を防ぐのが麻黄の作用です。
つまり、細胞内で増殖するための条件を悪くするようなイメージでしょうか。
タミフルとは作用が違いますのでタミフル耐性ウイルスでも新型ウイルスでも
効果が期待できるとのことです。
麻黄に関してはインフルエンザウイルスに対する作用を論文発表されている先生や
実際にタミフル投与群と効果を比較されて発表されている先生もいらっしゃいます。
効果のほどは同等レベルです。
もちろん、麻黄だけではなくこの4剤を組み合わせることの相乗効果により
体を温め発汗を早め、早期に解熱されるという効果もあります。
ただ注意点としては、いわゆる虚証(イメージで言えば体力のない虚弱な人)には
麻黄湯は実証向けのお薬なので、服用することで強力な発汗作用のため体力の消耗があるかもしれないことが考えられます。
代用として麻黄附子細辛湯は虚弱な人にもつかえますが、インフルエンザの適応はありません、
感冒は適応ありますね。(麻黄湯が麻黄5グラム・麻黄附子細辛湯は麻黄4グラム/一日量)
あとエフェドリン類のため他の交感神経刺激剤との併用注意となっています。
キサンチン系製剤や甲状腺製剤等の併用も注意が必要です。
インフルエンザに用いる場合は短期処方なので、影響は少ないと思われますが。
子供の用量は0.2g/kg/日です。
それより、やっぱり予防!ですね。
私たちの仕事は接触機会が多いので、手洗いうがいを徹底して、
「うつらない、うつさない」が基本でしょうか。