薬剤師を楽しもう!

経口補水療法

人の体に占める水分の割合は、体重の約60%です。
急性胃腸炎などで嘔吐下痢発熱が起こると、普段より電解質が失われます。 
それ以外にも夏場は乳幼児や高齢者は体内水分の割合や腎臓機能の関係で
より脱水の起こりやすい状態になっています。

そこで、よく病院では水・電解質輸液の経静脈輸液療法を行いますが、
軽度~中程度の脱水に対しては「経口補水療法(ORT:Oral Rehydration Therapy)」
が推奨されています。
これはもちろん米国厚生省疾病管理予防センター(CDC)のガイドラインでも推奨されています。
治療には「経口補水液(塩)(ORS:Oral Rehydration Solution(Salt))」を用います.

もともと、発展途上国のコレラをはじめ急性の下痢疾患に経口補水療法を行ったところ著効し
その効果は静脈輸液療法に匹敵したそうです。
そこから先進国にも広がりました。

根拠ですが
下痢が起こると便の中にも電解質が含まれ多量に出ていきます
重度の下痢の状態でも、
腸管でのナトリウム・ブドウ共役輸送機構の機能は失われないので
積極的にナトリウムとブドウ糖を含んだ水分を補給すれば、
吸収が早められ効果が上がるわけです。

じゃあ、世の中のスポーツ飲料は?
と思いましたが
ミソは「ちょうどいいブドウ糖の濃度」だそうです。
素早くナトリウムや水分が吸収される適度なブドウ糖の濃度は
1~2.5%と言われており、WHOや米国小児科学会などのガイドラインでもこの範囲です。
多いからいい、っていうもんじゃないのですね。
で、スポーツドリンクは味を思い出せばおわかりの通り、6~10%です。
そういえば子供の検診なんかでも、スポーツドリンクの常飲は虫歯になりやすいという
指導がありますね。

ORSですが、市販では薬剤師の皆様よくご存じの「OS-1」があります。
ちなみに「OS-1」は特別用途食品のなかの病者用食品で個別評価された
厚生労働省お墨付きのものです。
飲まれたことありますか?
ん~スポーツ飲料の甘み減らした感じです、なるほどブドウ糖は1.8%。
私は結構あっさり塩味で好きな味です、特に発熱時は本当に美味しく感じます。
ゴクゴクのんでくれるお子様たちもいれば
この甘みがないのが小さいお嬢ちゃま、お坊ちゃまのお口には合わないケースも…。
上記のような場合は、ストローで飲むと舌の味覚がごまかされて、なかなかいいとか。
あと、ゼリータイプもあります。
どちらにせよ、飲み方は嘔吐などがあれば、もちろんガブガブという訳にはいかないので
乳幼児などはスプーンでちょっとずつ上げるのがコツ。

OS-1が手に入らない場合や、
いやいや~やっぱり手作りでなきゃ!ドレッシングも手作りよ!とこだわりのシェフ。
大塚製薬工場のパンフレットに「手作り経口補水液の作り方」なるレシピ?が
書いていました。

①砂糖40gと食塩3gを湯ざまし1ℓによく溶かす
②かき混ぜて飲みやすい温度にする
③お好みで果汁(レモンやグレープフルーツ)を絞るとのみやすくなる上にカリウムの補給にもなります
   
ということでしたが作ってみました。
・・・・・百聞は一見にしかずならぬ一飲にしかず・・・・・
いや~あえてコメントは致しません(うっうっ・・・・)
プリーズ・チャレンジ・ユアセルフ!

風邪で熱がでたら定番!→白がゆ!
と言わずに経口補水液を補給しましょう~。

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