「突発性難聴」
歌手の浜崎あゆみさんが左耳の聴覚を失ったとブログで報告されてから
よく聞くようになった疾患です。
厚生労働省が指定する「特定疾患」の1つで増加傾向にあるといわれている疾患です。
もちろん読んで字の如く「突発」と言うだけあって突然耳が聞こえなくなり、
特徴的なのは「片耳だけ」しかも「何日の何時ごろ」とか「~をしている時に」など
発症時間を正確に言えるぐらい高度な感音難聴が起こります。
ですから、「最近なんとなく聞こえにくくって・・・・」とか「だんだん聞こえにくくなりました」という時は
突発性難聴でなく、他の疾患を疑わなければいけません。
さて原因ですが・・・・わかりません。と言うより厚生省研究班の診断基準に「急激に発症する難聴の中で原因不明のもの」とありますので、原因がわからなければ「突発」って事になっています。
とは言っても原因として推定されているものがいくつかありまして
ウイルス感染説、内耳の循環障害説、アレルギー説など。遺伝ではないといわれているようですね。
主訴の難聴のほか、発生前後に耳鳴り・めまい・吐き気を伴う事がありますが、
難聴だけだと突然聞こえなくなってもトンネルやエレベーターでよくなる内圧と外圧の差の
「キ~ン」かな?・・・・・「つばゴックン」・・・・「ん?治らない?まっ、そのうち治るか」
というのがとっても危険!!
「そのうち」が「手遅れ」になるのです。
治療を1日でも早くするのが予後をよくする方法で、ある病院の調査によると発症後12日以内に治療を開始した症例ではそれより遅い症例より治癒率は優位に高かったそうです。
主にはステロイドで治療し循環改善の為に血管拡張剤、ビタミン剤などを使用し、高圧酸素療法や神経ブロック等もありますが、前述のように治療が遅れると治る可能性は非常に低くなります。
ただ最近の新聞報道で京大において聴覚細胞を再生する世界初の治療法の試みが行われるそうなので朗報になるかもしれません。
しかしながら今のところは早期治療が一番の治癒率を上げる方法なので、ぜひとも「突然耳がキーンってする」「自分の声が頭の中で響く」なんて症状の方が現れて、「そのうち治るから様子みるわ~」なんてノンビリしている人がいれば、
「すぐ病院いかな手遅れなるで・・・・ほらほら、茹でた卵はもとの生卵に戻らんやん・・・・
あれと同じや・・・・あ~怖っ!」とボソッとささやいてください。
必ずあせって即病院に行ってくれます!(←私が身内に言ったら効果アリ!でした)
さてに難聴の1つ「薬剤性難聴」もありますね。私は薬剤性難聴の患者さんに出会ったことはありませんが、抗生剤(ストレプトマイシン・カナマイシン等)、利尿剤(フロセミド)や抗がん剤などが原因薬剤で、この場合両側の耳が同時に難聴の症状がでます。
新しい情報では昨年の秋に米国ではFDAが男性性的不全治療薬のバイアグラやレビトラ等に対して「突発性難聴を発症する恐れがある」と説明書に詳しくリスクを記載するように、と求めました。
まだ薬との因果関係は詳しくは不明ですが29件報告されているとの事です。