寒い季節になりました。
発汗のため、入浴剤にも最近「トウガラシエキス入り」なんてありますね。
Hot,Hot!のイメージですが、トウガラシの成分の「カプサイシン」が高齢者の嚥下障害を予防するという記事を見つけ、色々調べてみました。
高齢者の嚥下障害を防ぐことがなぜ必要かと言うと、老人性肺炎につながる危険があるからです。
肺炎による死亡率は経時的に増加しており、65歳以上が95%を占めるといわれています。
「老人性肺炎」は若い人の肺炎とは違い、誤嚥によるものが多く、特に大脳基底核に障害のある脳血管障害の人に多く見られます。
ここに障害があると、黒質線状体から産生されるドパミンの合成が低下します。
すると、嚥下反射や咳反射の原動力のサブスタンスPという物質の合成能も低下します。
このことで嚥下障害がおこりやすくなります。
ここで問題なのは明らかな嚥下障害はもちろんですが、知らず知らずのうちに口腔内の雑菌の含んだ唾液を気管に誤嚥してしまう、「不顕性誤嚥」です。
ここで登場「カプサイシン」!
カプサイシンがこのサブスタンスPを強力に放出する作用があるとのことで、東北大学医学部で研究が進んでます。どれほど効くのか?東北大学の海老原博士らが2005年米国高齢者会誌に報告したものによると
平均年齢82歳の64名の老人ホーム入居者を対象にカプサイシン入りのトローチ或いはプラセボトローチを4週間にわたって毎食前になめてもらい、適宜少量の水を飲んでもらい、飲み込むまでの時間を測定することで嚥下神経の反射能を測定しました。
水を飲み込むまでの時間は開始時点では平均5.7秒だったのが、カプサイシントローチをなめていた人たちは4週間後には3.5秒まで飲み込む時間が短縮されたという結果がでました。
嚥下の時間が5秒を超えると肺炎のリスクが高くなるといわれているので、このカプサイシンが誤嚥性肺炎の予防に有効であるといえます。
さてこのトローチ、某大手蜂蜜メーカーが研究し提供したものと聞きましたので、そろそろ発売なのかな?と電話で確認すると「決定ではないが発売に向けて強い希望をもって進めている」との事でした。
蜂蜜まぜて、甘くするのでしょうか、味が知りたい!
トローチ自身を誤嚥してはいけないので、ちゃんと穴あきトローチみたいですよ。
カプサイシンなのでトウガラシを含む食品でもいいのですよね。でもキムチなど食べると余計に喉が「ひい~!!」となってゲホゲホしないのかな・・・・とちょっと心配。
ついでにもう1つサブスタンスPを増やす物質をご紹介すると、ACE阻害剤です。
ACEを阻害するだけでなく、サブスタンスPの分解酵素も阻害するので服用を続けるとだんだんサブスタンスPの濃度が高くなり効果があるとの事です。このことも色々研究発表がされているみたいです。
あと大切なのは口腔ケア。口内雑菌を減らすことで肺に入る雑菌量を減らすことも有効です。
また胃の逆流を防ぐ為にも食後2時間の座位の保持も大切です。