薬剤師を楽しもう!

やっかいな虫

さて、次のブログの話題を何にしようと思っていたら、
子供たちが流行の歌「おしりかじりむし~~~」と合唱していたので
(1度聴くと私も耳から離れない!)
今回のお題は「ギョウ虫」
学童時期、春になるとおしりにペッタンシールで検査しますよね。
感染率は少なくなったとはいえ1~5%位あります。

では「ギョウ虫の一生」

人から人への経口感染です。手についた卵が口から入ります(まれに空気感染もあるらしいですが)十二指腸でふ化し約45日で成虫になり盲腸で生活します。

その後メスが夜中に肛門に出てきて卵を産みます。そして体内に戻ることなくご臨終。
何で夜中?と言うのも夜中は肛門の括約筋が弛緩しているからだそうです。

ここからが問題、その卵の数、7000~10000個!(ゲッ!)
そこで痒いので子供は自然にお尻をかいてしまい、手から再感染。
またお布団、パジャマなど卵はそこら中に飛散するのです。
この卵がやっかいなことに長生きなのです。
春秋など心地よい気温では40日以上生存するらしいです。(家中、卵だらけ?!)
ですから感染すると、ひたすら掃除しまくり布団を日干しして朝起きたらすぐお風呂でおしりを洗い、
下着を着替えて・・・・なんて頑張っても完璧にはとても無理ですよね。

ここでお薬登場、ご存知「コンバントリン錠」(成分名:パモ酸ピランテル)です。
10mg/㎏なのでドライシロップだと体重10kgに対して1包(力価100mg)です。
大人だと50㎏計算でコンバントリン錠5錠を1度に服用します。
前述の通り一人が感染すると家族中感染する確立が非常に高いので全員で同時に服用するのが1番です。
1回の服用で9割以上効果がありますが、卵や幼若虫には効果が少ないのでそれらが成虫になる頃、
大体最初の服用から10日~14日後にもう1度服用するほうが効果的です。
副作用は?、って患者さんから聞かれたことないですけど(それどころじゃない?!)
添付文書によると、頭痛・腹痛などですが低頻度です。

コンバントリンは平成17年3月まではOTCで購入できたのですが、成分のパモ酸ピランテルが処方箋薬になった為、現在は処方箋がないと手に入りません。
ちなみに今あるギョウ虫駆除剤のOTCは、佐藤製薬の「パモキサン錠」(成分名:パモ酸ピルビニウム)があります。
とりあえず感染源になる子供は爪を切り、手洗いを徹底して家に持ち込まないようにしましょう!

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