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ゼチーア

初めてのコレステロールトランスポーター阻害剤、「ゼチーア」が発売されました。

小腸でのコレステロールの吸収を阻害する新しいタイプの薬剤です。
腸管循環しながら作用点に長くとどまるので、1日1回投与です(食事影響なし)
効果はメバロチンの10mg位で、単独投与でLDL-Cを平均32mg/dl下げるそうです。

次にスタチンとの併用での結果ですが、今回の勉強会で私も初めて知ったのですが、スタチンには6%ルールと言うのがあるそうです。
それは「用量を倍にしても効果は倍でなく、6%しか上がらない」と言う結果がどのスタチンにもほぼ当てはまるそうです。

ですからリピトールを例にとると、10mg投与で約37%低下しますが、20mgに増やしても42%の低下にとどまるそうで、ここでリピトールを増量するよりリピトール10mgにこのゼチーア10mgオンすると、53%低下しました。
作用点が違うので効果は単独でも併用でもマイナス30mg/dlというのが、ゼチーアの特徴です。

副作用は海外データではプラセボと有意差はなく、スタチン併用時はスタチン単独時の副作用発現率と有意差はなく、代謝もグルクロン酸抱合で腸管循環し糞中排泄なので、腎機能低下例や高齢者等にも使用しやすいです。

副作用に関しては市場に出回ってから色々でてくるかもしれませんが。

さて、今回注目したお話ですが、コレステロールがスタチン等で合成阻害を長期間していると、人間のフィードバック機能で「うわ~むっちゃ減ってきたやん!えらいこっちゃ、ほながんばって吸収しやな!」
と思うそうで(注:私の体は関西弁でできています)、
なんとコレステロールの吸収マーカーが増えるそうです。

グラフでは合成マーカーがスタチン服用期間に比例して減っていくのに対し、どんどん吸収マーカーが反比例して増えていく、というまるで「反比例とは」と子供の授業で出てくるような美しいグラフ。

そこでDEBATE Study という研究が昨年発表されまして、「コレステロール吸収と心血管イベント発症率」という出たばかりのホヤホヤの研究結果があります。

LDL-C 127.4と全く同じ数値の患者を2群に分けまして、コレステロール吸収マーカが高い人と低い人の心血管イベント発症率を調べました。結果は吸収マーカーが高い人のほうがイベント発症率が高く有意差がでました。この結果は今までのように合成阻害だけではなく吸収阻害の必要性が重要となる大変興味深いものです。

実際海外ではすでにリポバスとゼチーアの合剤があります、
日本ではまだそこまでのメーカー同士の合意などが出来ていないそうですが。
(ちょこっと裏話:ゼチーア側は「合剤の相手どうする?今度はリピトールにしてみようか」・・・・
「なんでやねん!裏切らんといて~」と言ってるリポバス側・・・とかなんとか)

最後にMRさん曰く、ゼチーア勉強会で必ず聞かれる質問。
まんまと私も聞いてしまいました。・・・「吸収阻害だから飲めば、やせれるの?」
答えは「NO」・・・・・あえなく撃沈。
海外で発売されて5年ですが、やせたデーターはでてきてないそうです。
ちゃんと単独で12週間服用で体重おちなかったデーターもあるそうです。

楽して痩せられないってことですね(笑)

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