薬剤師を楽しもう!

セレコックス

待望のCOX-2選択的阻害剤、セレコックスです!!

・・・・と期待をこめて大声で言うつもりが、「大丈夫?」と思っている人多いのではないでしょうか。

メーカーの説明会に行ってきました。

適応は関節リウマチと変形性関節症なので基本的に頓服では使えません。
COX-2選択的阻害なので、もちろんウリは「胃にやさしい痛み止め」です。

ところが発売直前に心血管系リスクに関して名指しでデカデカと特集記事がありました。
(このタイミングで、何か裏があるの?とかんぐってしまいますが)

今回セレコックス(一般名、セレコキシブ)の添付文書には以下の警告が掲載されています。

●外国においてCOX-2選択的阻害剤等の投与により、心筋梗塞、脳卒中等の重篤で場合によっては致命的な心血管系血栓塞栓性事象のリスクを増大させる可能性があり、これらのリスクは使用期間とともに増大する可能性があると報告されている。

米国ではアスピリンを除くすべてのNSAIDに心血管系リスクを警告として記載するようにFDAから指示が出ています。海外の大規模試験では、類薬のロフェコキシブが複数の試験で心血管系リスクが上がり市場から撤退しました。

セレコキシブは?と言うと、数個の試験のうち1つがリスク上がりましたが、FDAの見解では、「適切に選択され十分な説明をうけた患者ではセレコキシブのベネフィットはリスクを上回る」と事実上販売継続を認めました。

この「十分な説明」と言うところに薬剤師も関わってくると思います
セレコックス錠を服用するにあたって患者向け配布冊子があります。

主な副作用、腹痛・嘔吐・下痢・口内炎・発疹以外に「以下の症状を感じたら服薬をやめて主治医にすぐ連絡を」という項目には胸の痛み、ろれつがまわらない、体の片側または一部が麻痺する等、結構ショッキングな状態が記載されています。これをもらった患者さんはどう思うでしょうか?
「こわい」「きつい」「飲みたくない」「痛くなければ極力飲まないようにしよう」等など。

けれどこれらの症状は知っておかなければいけない副作用の初期症状です。
それを不安を与えずにどのように伝えるべきか・・・・・難しいところですね。
一応国内使用では投与量が少量であるため臨床試験では問題となる副作用はみとめられてないそうです。肝心の効果はロキソニンとボルタレンの間位のイメージだそうです。

上部消化管リスクのラットの胃粘膜の変化を見ましたが(注:大量単回投与)
他のNSAIDに比べ明らかにびらん状態が違いました。
ほぼプラセボと同じようにきれいなピンクの粘膜のままです。
ボルタレンを投与されたラット君・・・・あ~真っ黒、痛そう!
リウマチなどの長期投与においては胃腸障害が防げることはとても有用なことです。

米国ではNSAIDは基本的に単独投与で日本のように最初から胃粘膜保護剤の併用はしないそうです、このあたりが海外データーほどクリアに日本のデーターがでない原因なのかもしれませんね。

日本での臨床量のデーターが多く出てくれば、安全か要注意かもっとはっきりわかってくると思います。
1999年米国発売以来すでに100カ国以上で承認され3100万人以上に使用されている大物ですから、
期待したいです!

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