薬剤師を楽しもう!

「病院に就職したい」という薬学生たちの就職理由。

今回は、皆さまに問題提起をしてみたいと思います。

「病院に就職したい」という薬学生は毎年、たくさんいます。
その「病院で働きたい」という学生さん達の相談にのりながら、なんかいつも「違和感」をおぼえてまして・・・。
その理由を自覚できたので、今回は皆様にも考えていただこうと問題提起、です。

最近、大学で学生向けの就職ガイダンスでお話をさせていただく機会が増え、薬学生さん達の就職相談にのらせていただいてます。
その中で「病院が第一志望です。希望理由は、『勉強になるから』」という相談が一番多いんです。
その際に、私はこの「勉強になるから」の意味がよく分からなくて、よくよく聴いてみると、
「療養型病院ではなくて、急性期で働きたい。いろんな疾患の患者がいるので勉強になる。
そんな方々に触れられる病棟活動をすると更にもっと勉強になる。そんな患者達に対する薬物治療の実態に触れ、勉強をしたい。」
とまあ、平たくいうとこんな理由のようです。

「いろんな患者で勉強する??」
私はこの手の発言を聴くたびに、
「絶対に病気になりたくない、絶対入院したくない!」「私で勉強しようと思っているこんな薬剤師たちに、服薬指導されたくない」
「頼むから病棟に来ないで!」と、いつも決心します。
この「勉強になるから」っていうのは、いったいどんな気持ちなんでしょうか??

ただ、私のこの発言に理解できない薬剤師さんたちもたくさんいるらしいので、例を出すと・・。
私はキャリアカウンセラー。
私たちのカウンセリング対象には、例えば、「引きこもり」の方や「ニート」の方などもいます。
そういった方々専門のキャリアセンターがあるとして、そこで働きたいカウンセラーの就職希望理由が
「引きこもりやニートのカウンセリングをすると、勉強になるから」などというカウンセラーは、まあいないと思います、絶対。
例えばいたとして、「今日のカウンセリングは勉強になった。引きこもりの勉強になった」
とかいうカウンセラーがいたら、皆さん、どう感じますか?
そんなカウンセラーにカウンセリングなんてしてもらいたくないのでは?
自分のことを単なる研究の一つとして考えてるカウンセラー・・・。
私だったら、イヤですね・・。

この例と同じことを、病院希望の薬学生は言っていると思うんですがね。
「急性期病院に入院している患者で、勉強したい」。
「卒業して最初の就職先は、是非病院に。病院で勉強して、薬局に転職すればいい」
というような就職指導をしている薬科大学もあるようで・・・。

私は、いつまでも薬剤師の地位は向上しないな、と確信しています。
いい加減、「自分の勉強のため」ではなく、
「患者のために何ができるか」を考える薬剤師になりませんか。

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